1:自筆証書遺言の方式緩和
▶▷ 要点
これまでは遺言書の全文を自書しなければならないという相当な負担がありましたが、財産目録をパソコン等で作成したり、銀行通帳のコピーや不動産登記事項証明書等を添付したりして、遺言を作成できるようになります。ただし、財産目録の各頁に署名押印をし、偽造を防止すること。
2:遺言執行者の権限の明確化
▶▷ 要点
① 遺言執行者の一般的な権限として、遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示し
てした行為は相続人に対し、直接にその効力を生ずることを明文化しなければなりません。
② 特定遺贈又は特定財産承継遺言(いわゆる相続させる旨の遺言のうち、遺産分割方法の指定として
特定の財産の承継が定められたもの)がされた場合における遺言執行者の権限等を、明確化しなけ
ればなりません。
Q&A |
Q1 財産目録を作成するのはどんなとき?
A1 遺贈等の目的となる財産が多数に及ぶ場合等に、財産目録を作成します。
Q2 財産目録の形式は?
A2 署名押印の他には定めはなく、書式は自由です。遺言者以外の人が作成することもできます。
Q3 財産目録への署名押印はどのようにする?
A3 自書によらない記載が用紙片面のみの場合はその面又は裏面の1ヵ所に署名押印を、
用紙両面の場合は両面に署名押印が必要です。
本文で用いる印鑑と異なる印鑑でも問題ありません。
Q4 自筆証書に財産目録の添付方法は?
A4 特別な定めはありません。
なお今回の改正は、自筆証書に財産目録を添付する場合に関するものなので、
自書によらない財産目録は本文が記載された自筆証書とは別の用紙で作成する必要があります。
本文と同一の用紙に自書によらない記載をすることはできません。
Q5 自書によらない財産目録の中の記載を訂正する場合は?
A5 自書による部分の訂正と同様に、遺言者が変更の場所を指示して、これを変更した旨を付記して
これに署名し、かつその変更の場所に印を押さなければ、その効力は生じません。
自筆証書遺言の方式(全文白書)の緩和方策の例 【作成見本】 |
<遺言書本文(全て自書しなければならない。)>
遺言書
1 私は、私の所有する別紙目録第1記載の不動産を、長男神戸一郎(昭和○年○月○日生)に相続させ
る。
2 私は、私の所有する別紙目録第2記載の預貯金を、次男神戸二郎(昭和○年○月○日生)に相続させ
る。
3 私は、上記1及び2の財産以外の預貯金、有価証券その他一切の財産を、妻神戸花子(昭和○年○月
○日生)に相続させる。
4 私は、この遺言の遺言執行者として、次の者を指定する。
住 所 ○○県○○市○○町○丁目○番地○
職 業 弁護士
氏 名 兵庫 太郎
生年月日 昭和○年○月○日
令和元年7月1日
住所 兵庫県神戸市中央区磯辺通4丁目2番8号
神 戸 太 郎 印
<別紙目録(署名部分以外は自書でなくてもよい。)>
物件等目録
第1 不動産
1 土地
所 在 ○○市○○区○○町○丁目
地 番 ○番○
地 積 ○○平方メートル
2 建物
所 在 ○○市○○区○○町○○丁目○番地○
家屋番号 ○番○
種 類 居宅
構 造 木造瓦葺2階建て
床 面 積 1階 ○○平方メートル
2階 ○○平方メートル
3 区分所有権
1棟の建物の表示
所 在 ○○市○○区○○町○丁目○番地○
建物の名称 ○○マンション
専有部分の建物の表示
家 屋 番 号 ○○市○○区○○町○丁目○番の○○
建物の番号 ○○
床 面 積 ○階部分 ○○平方メートル
敷地件の目的たる土地の表示
土地 の 符号 1
所在及び地番 ○○市○○区○○町○丁目○番○
地 目 宅地
地 積 ○○平方メートル
敷地権の表示
土地 の 符号 1
敷地権の種類 所有権
敷地権の割合 ○○○○○分の○○○
第2 預貯金
1 ○○銀行○○支店 普通預金
口座番号 ○○○
2 通常預金
記号 ○○○
番号 ○○○
神 戸 太 郎 印
出典:法務省HPより
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